「休眠会社」とは全く事業活動を行っていない、休業中の会社のことです。会社を解散・清算するためには費用や手間がかかります。 また、将来事業を再開したいと思った場合、一旦解散後、再度会社設立してしまうと過去の繰越欠損金を使用できなくなるばかりか、費用面でも馬鹿になりません。そのため、特に株主や利害関係者が1人の会社、親族のみの会社などでは、正式に解散・清算の手続きを取らず、会社をそのまま放置する場合があります。
放置する場合、地方税である均等割がかかるかが問題になります。
均等割が課税されるための、法的な要件としては「道府県内または市町村内に事務所又は事業所を有する法人」であります。 ここでいう事務所又は事業所とは、「…事業の必要から設けられた人的及び物的設備であって、そこで継続して事業が行われる場所」をいいます。
法人が完全に事業活動を停止していて、事務所なども引き払ってお金の動きも全くないような状態ならばここでいう要件である「事務所等」に該当せず、均等割の納税義務は無いということになります。そのため実態としても完全に休眠中であれば、「事務所等」の要件に該当せず均等割がかからないという主張が通ります。
それでは休眠する場合の手続きについてみていきましょう。
【税務署あて】
異動届出書…「異動事項」=その他、休眠など、「異動後」=〇年〇月〇日より休眠などと記載します。
給与支払事務所等の廃止届出書 …「休業」欄にチェック、「参考事項」=〇年〇月〇日より休眠
【道府県税事務所、市町村あて】
異動届に、「〇年〇月〇日より休眠」と記載して提出します
休眠手続き後の申告についてみていきましょう。
法人税申告は必要です。本人税については、法人が存続している限り申告義務があるため、税務署への確定申告書提出は必要です。 青色申告などを継続したい場合は、2期連続で期限内申告をしなかった場合は青色申告が取り消されますので、毎年期限内に提出しましょう。繰越欠損金が消滅する、青色申告が取り消されても良いという場合は実際に申告をしなくとも実害は少ないです(但し会社に役員から貸付金があり(会社から見れば役員に対しての借入金)、その役員が亡くなった場合は相続財産の一部となる恐れがあります)。
消費税、都道府県、市町村への申告書の提出は不要です。 消費税は、課税取引がない場合は申告義務がありません。課税事業者に該当しなくなった旨の届け出は提出しておきましょう。 住民税は、事業を行う事務所を廃止したという理由で、申告義務がなくなります。